ナンボー

最近の研究 その3Our recent activities No.3

光電子分光で見るBiS2超伝導体の電子構造とPb置換効果

サンプルメージ

 私たちは、リニアモーターカーやMRIなどに応用されている超伝導物質の研究をしています。 超伝導とは電気抵抗が低温でゼロになるという現象のことで、この現象から磁石や電線などにも応用することができます。
 本研究室では、元素番号83のBiが重要な役割を担うRe(O,F)BiS2(Re=希土類)の物性を調べています。2012年に発見されたこの物質は、電気伝導を担う電荷を供給するLaO層と、超伝導になるBiS層が重なった積層構造をしています。LaOBiS2という結晶は元々半導体的な性質を示し、OをFに50%置換することによって結晶の一部分で超伝導が発現します。この結晶の面白いところは、そのLaO0.5F0.5BiS2に対しBiをPbに9%置換することで超伝導になる体積の割合が向上するという点にあります。研究の目的は、Pb置換によって超伝導の体積割合が向上した理由を、実験と計算の両面から観察することによって明らかにすることです。
 実験の方法は、兵庫県の大型放射光施設SPring-8にてX線を用いた光電子分光実験を行い、そこで得たデータの解析を行っていきます。
 本研究は、層状物質として研究が進んでいる他の物質の超伝導体の経験から、元素を置換することによって超伝導になる温度が変化することが分かっており、高温超伝導体が実現されることが期待されています。



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