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最近の研究 その1Our recent activities No.1

蜂の巣格子を持つ塩化ルテニウムの電子構造について

サンプルメージ

 塩化ルテニウムの結晶構造は蜂の巣格子を持っており、量子スピン液体になることが期待されている物質です。本来、絶対零度になると電子のスピンの向きは上向きや下向きなど秩序化し、それによって反強磁性や強磁性などの磁性が決まります。しかし、量子スピン液体の場合、絶対零度においてもスピンの向きが秩序化せず、液体のように定まらない性質を持っています。この量子スピン液体は量子コンピュータの基礎技術として活用できることが期待されているため注目を集めています。
 本研究では、放射光施設SPring-8で光電子分光実験から電子の状態について研究しています。そして、実験結果と理論計算の比較から塩化ルテニウムが持つ電子状態のパラメータの大きさなどを決めることが出来ました。また、強いX線を物質に照射して行う実験であるため、照射の影響を受けて塩化ルテニウムの電子状態が時間経過に伴って変化していました。これは塩化ルテニウムに他の元素を加えてルテニウムに電子を余分に1つ与えた時と同様の変化を示していることが分かりました。
 以上のように、光電子分光の実験結果からさまざまな電子状態について知ることが出来ます。

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