甲南大学 物理学科 半導体研究室

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太陽電池の動作原理

太陽電池は半導体

太陽電池は半導体でできている。半導体には価電子帯と伝導帯というエネルギー状態があって、平衡状態では電子は価電子帯に存在し伝導体帯には存在しない。その間は禁制帯と呼ばれ電子は存在することができない。価電子帯の最高点と伝導体の最下点のエネルギー差をバンドギャップエネルギーという。半導体に光が当たると光のエネルギーがバンドギャップエネルギーを超えると電子は価電子帯から伝導体に移動する。この電子が左または右に動けば電流となる。さて、どうすれば電子は左または右に動けるだろうか。


発電の基本は半導体接合

先ほどは平衡状態では電子は価電子帯に存在し伝導体帯には存在しないと述べたが半導体に不純物を添加するとd電子の多いn型半導体と、正孔と呼ばれる正の電荷をもつ擬似粒子の多いp型半導体を作ることができる。n型半導体とp型半導体を接合するとn型半導体の電子はp領域へ拡散し正に帯電する。逆にp型半導体の正孔はn領域の拡散し負に帯電する。したがって接合領域に電界が生じる。この領域を空乏層という。

電子のポテンシャルエネルギーを縦軸にとって図を書くと電子は負から正の方へ移動するので負に帯電したp領域が高くなるように表現して図を書ける。この図は平衡状態を示したものであるが過剰な電子が加われば電子はこの図では高い方から低い方へ移動する。このようにp型半導体とn型半導体を接合したものをpn接合半導体という。


光が当たると電子が移動し電流が生じる

pn接合半導体に光が当たると空乏層の電子は光のエネルギーによって価電子帯から伝導帯に(下から上に)移動する。これは平衡状態に比べれば余剰な電子である。余剰な電子は空乏層の電界によって負から正へ、すなわちこの図で斜めの領域を右から左へ坂道を下るように移動する。この電子の移動によって電流が発生する。これが発電の原理である。